SERVICE 05
作るかどうかを決めるところから、お手伝いします。医療法人の利益をMS法人に移し、所得を分散し、不動産で運用する。
うまくはまれば効果は大きいのですが、作らないほうがよい先生もいます。そこを正直に申し上げます。
MS法人ではなく「資産管理会社」で足りることも多くあります。
医療法人には、剰余金を配当してはならないという決まりがあります(医療法54条)。株式会社なら利益を配当で株主に返せますが、医療法人にはその出口がありません。
その結果、何が起きるか。利益が内部留保として積み上がり、出資持分の評価だけが上がっていきます。持分あり医療法人の場合、これは20年後の相続で重くのしかかります。
医療法人には配当がないぶん、株式会社より利益を圧縮したときの評価引き下げ効果が大きいという構造もあります。
MS法人は営利法人ですから、配当ができ、医師免許のないご家族を株主にも代表者にもできます。ここが、医療法人だけでは埋められない穴です。
不動産の賃貸、医療機器のリース、消耗品の仕入販売、事務代行。
実態のある業務をMS法人に切り出し、その対価として医療法人からMS法人へ利益が移ります。
医療法人の利益が減れば、出資持分の評価も下がります。
MS法人の役員にご家族が就任し、業務の内容に見合った役員報酬を受け取ります。
所得税は累進課税なので、一人に集中させるより世帯全体の負担は軽くなります。
医師免許がなくても代表者になれるのがMS法人です。
MS法人が土地建物を保有し、医療法人へ賃貸します。個人の相続財産を法人に移しつつ、賃料という形で安定した収入をつくる。最も金額が大きく、最も設計が要る使い方です。
MS法人の話は「節税になります」から入るのが普通です。ただ、設立を勧める側があまり書かないコストが3つあります。ここを先に計算しないと、作ってから後悔します。
医療法人の保険診療は消費税が非課税です。つまり課税売上割合が極端に低い。この状態でMS法人に業務委託料や賃料を払うと、そこに含まれる消費税をほとんど控除できません。
たとえば課税売上割合が10%の医療法人が、MS法人に年1,000万円(税抜)を払うとします。
消費税100万円のうち、控除できるのは10万円ほど。残りの90万円前後は、そのまま出ていくコストになります。一方、MS法人側は受け取った分を全額課税売上として消費税を納めます。
法人税でいくら得をしても、この損税を上回らなければ意味がありません。設立を検討する段階で、必ず両方を並べて計算してください。
MS法人も社会保険の適用事業所になります。役員報酬を出せば、その分の保険料が法人・個人の双方に発生します。
加えて、赤字でもかかる法人住民税の均等割(年7万円程度)と、MS法人ぶんの税務申告の手間。
設立の費用だけでなく、毎年出ていくお金を見てください。
委託料や賃料が「不相当に高額」と判断されれば、超過部分は経費として認められません。
過去には、同業他社と比べて説明のつかない管理委託料や、過大な医療機器のリース料が否認された例があります。
実態のない取引は、いちばん危ない使い方です。
MS法人は税務だけの話ではありません。医療法という別の法律が、同時にかかってきます。税務署を通っても、保健所や都道府県で止まることがあります。
厚生労働省の通知(平成5年2月3日 総第5号・指第9号、最終改正 平成24年3月30日 医政総発0330第4号・医政指発0330第4号)により、医療法人の役員が、経営上利害関係にある営利法人の役職員を兼務することは原則として認められていません。
例外が認められる場合もありますが、物品の購入や賃貸、役務の提供を受けるタイプの取引では、「役員の過半数を超えないこと」「開設者である法人の代表者でないこと」「営利法人の規模が小さく役職員の変更が困難であること」「契約内容が妥当であること」といった要件が並びます。
つまり、物品・役務提供型のMS法人では、理事長が代表者を務めることは通知上明確に認められません。
土地・建物を賃借するタイプの取引には、通知の文言上この「代表者でないこと」の要件は課されていませんが、自治体の指導により、実務上は難しいのが実情です。
つまり、誰をMS法人の代表者にするかは、設立前に決めるべき最初の論点です。ここを後から直すのは大変です。
医療法人が理事やその親族の関係する会社と一定額以上の取引をした場合、その内容を都道府県知事に届け出る義務があります(医療法51条・52条)。
対象は、取引の金額が1,000万円以上、かつその年度の事業収益または事業費用の総額の10%以上にあたる取引などです。
特別の利益や特別の損失にあたる取引は、割合にかかわらず1,000万円以上であれば対象になります。
届け出るのは取引の内容・金額だけでなく、「取引条件をどうやって決めたか」という方針まで含まれます。
自治体によっては事業報告書等を公開しています。MS法人との取引は、外から見えるという前提で設計してください。
ここまで読んで、面倒だと思われたはずです。実は、その面倒のほとんどは「医療法人と取引すること」から生まれています。
消費税の損税も、否認のリスクも、役員の兼務規制も、都道府県への報告も、すべて医療法人とMS法人の間に取引があるから起きる話です。
では、取引しなければどうなるか。それが「資産管理会社」です。理事長個人の資産を持つためだけの会社で、医療法人とは取引しません。先ほどの面倒が、まるごと消えます。
| MS法人 | 資産管理会社 | |
|---|---|---|
| 医療法人との取引 | ある(それが目的) | なし |
| 消費税の損税 | 発生する | 発生しない |
| 「不相当に高額」の否認 | リスクあり | 論点にならない |
| 役員の兼務規制 | かかる | かからない |
| 関係事業者報告 | 必要になり得る | 不要 |
| おもな原資 | 医療法人が払う委託料・賃料 | 理事長の役員報酬・退職金 |
| 向いている目的 | 医療法人の利益を外に出す | 個人資産の運用・分散・承継 |
MS法人を検討される先生の多くは、じつは「医療法人の利益を移したい」のではなく、「個人の資産をうまく残したい・分けたい・引き継ぎたい」と思っておられます。
だとすれば、医療法人と取引する必要はありません。
理事長の役員報酬や退職金として受け取ったお金を、資産管理会社に入れて運用する。
それだけで、所得の分散も、資産の運用も、ご家族への承継も、医療法特有の規制にほとんど触れずにできます。MS法人を作らずに済むなら、そのほうが確実です。
順番としては、①理事長の役員報酬と退職金の設計 → ②資産管理会社 → ③それでも足りなければMS法人です。いきなり③から入ると、消費税の損税を払い続けることになりかねません。
決算書をお預かりして、作った場合と作らない場合を並べて計算します。法人税でいくら減り、消費税でいくら増え、社会保険料と維持コストがいくらかかるか。
差引きでマイナスなら、そう申し上げます。そのほうがお互い時間を無駄にしないので。
あわせて「資産管理会社で足りないか」も並べてお出しします。作らずに済むなら、そのほうが確実です。
会社の形(株式会社か合同会社か)、誰を株主・代表者にするか、どの業務を切り出すか、対価をどう決めるか。登記の前に決めるべきことを、順番に整理します。
費用はお見積りです。切り出す業務の範囲と医院の売上規模によって、設計と書類の量が変わるためです。着手前に書面でお出しし、あとから増えることはありません。
作ったまま、何年も見直していないMS法人が少なくありません。設立してくれた事務所とは、もう関係が切れている。
契約書がどこにあるか分からない。委託料は当時のまま。——このまま税務調査を迎えると、危ないことになります。
次の6点を確認して、直すべきところを report にまとめます。
| ①契約書 | 業務委託契約書・賃貸借契約書があるか。実際の業務と内容が合っているか |
|---|---|
| ②対価の根拠 | 委託料・賃料をどう決めたか、第三者に説明できるか。近隣相場と比べて不自然でないか |
| ③業務の実態 | 業務報告書、日々の記録、やりとりの履歴が残っているか。契約書があるだけでは足りません |
| ④役員兼務 | 理事長・理事がMS法人の役職員を兼ねていないか。兼ねている場合、例外の要件に収まっているか |
| ⑤関係事業者報告 | 届出の対象になる取引がありながら、出していないということはないか |
| ⑥定款と実態 | MS法人の定款の目的と、実際にやっている業務が一致しているか |
費用はお見積りです。MS法人の業務内容と売上規模によって、確認する範囲が変わるためです。顧問契約がなくても、この診断だけでお受けします。
MS法人は、税務署と保健所の両方から見られます。
どちらか片方だけを見た設計は、どこかで止まります。
メディカルサービス法人の略で、法令上の定義がある言葉ではありません。医療機関でなければできない業務以外を担う、普通の株式会社や合同会社のことです。
医療法人から不動産の賃貸、医療機器のリース、消耗品の仕入販売、事務代行などを受託します。
医療法人は剰余金の配当が法律で禁止されているためです。利益が出ても理事長個人に還元する手段が限られ、内部留保として積み上がります。
その結果、出資持分の評価が上がって事業承継が難しくなります。
MS法人は営利法人なので配当ができ、家族を株主・役員にできます。
いいえ。法人税で得をしても、消費税で損をすることがあります。
医療法人の保険診療は消費税が非課税のため、MS法人へ支払う委託料に含まれる消費税を控除しきれません。
この損税と、社会保険料の増加、法人住民税の均等割などを合わせると、作らないほうがよい先生もいます。
物品の販売や役務提供を行うタイプのMS法人では、通知上明確に認められません。
厚生労働省の通知(平成5年2月3日 総第5号・指第9号、最終改正 平成24年3月30日)により、医療法人の役員が経営上利害関係にある営利法人の役職員を兼務することは原則として認められておらず、例外が認められる場合も「開設者である法人の代表者でないこと」が要件に含まれています。
土地・建物を賃貸するタイプのMS法人には通知の文言上この要件はありませんが、自治体の指導により実務上は困難です。
誰を代表者にするかは、設立前に決めるべき最初の論点です。
医療法人と取引するかどうかです。MS法人は医療法人から委託料や賃料を受け取るため、消費税の損税、「不相当に高額」の否認、役員の兼務規制、都道府県への関係事業者報告がついてきます。
資産管理会社は医療法人と取引しないので、これらがすべて関係ありません。理事長が役員報酬や退職金として受け取ったお金を法人に入れて運用する形になります。
所得の分散・資産運用・ご家族への承継が目的であれば、多くの場合は資産管理会社で足ります。
お受けしています。
契約書があるか、委託料の算定根拠を説明できるか、業務の実態を示す記録が残っているか、役員兼務が規制に触れていないか、関係事業者報告を出しているか。
この5点を確認します。作ったまま何年も見直していない法人は少なくありません。
出資持分がないので評価を下げるという目的では意味が薄くなります。ただし、医師免許のないご家族への承継ルートを作る、所得を分散する、という目的であれば有効です。
持分あり・なしのどちらかによって、MS法人に期待できる役割は変わります。
最終更新:2026年9月1日
決算書をお預かりして、作った場合と作らない場合を並べて計算します。法人税だけでなく、消費税と社会保険料まで含めた差引きでお出しします。マイナスなら、そう申し上げます。
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