スタッフが何十人もいる事務所と、税理士がひとりの事務所。 医院は、どちらを選ぶべきか。
よく「大きいほうが安心」と言われます。半分は当たっています。
ただし大きさより先に見るべきことがあります。「誰が担当になるか」です。 これで、ほとんど決まります。
この記事の結論
- 大きい事務所のいいところは。
- 人がいることです。担当が辞めても引き継げる。相続や組織再編の部署がある。事務所がなくなる心配が小さい。この「続く安心」は、小さい事務所には出せません。
- では何が問題ですか。
- 誰が担当になるか分からないことです。面談に来た所長ではなく、経験の浅いスタッフが来ることがあります。スタッフは責任を取れないので、踏み込んだ提案ができません。
- ひとり医師法人なら、どちらですか。
- 税理士本人と直接話せるほうです。院長ひとり+スタッフ数人の医院で、判断が要る場面は毎回、院長と税理士の1対1です。そこに人数は要りません。
大きい事務所のいいところ
| いいところ | |
|---|---|
| ① | 引き継げる。担当が辞めても、別の人が続けられます |
| ② | 専門の部署がある。相続、事業承継、組織再編など |
| ③ | 事務所がなくなりにくい。所長に何かあっても続きます |
| ④ | 提携先が多い。司法書士・社労士・弁護士がそろっていることも |
③を軽く見ないでください。税理士も人間です。 病気になることもあれば、亡くなることもある。 ひとりでやっている事務所は、そこで止まります。
出資持分の相続のように、 10年、20年先まで続く話を抱えている医院にとって、 「続くこと」は本当の価値です。
大きい事務所の弱いところ
弱点はひとつに集約されます。誰が担当になるか分からない。
| 起きること | なぜ困るか |
|---|---|
| 面談に来た所長が、担当にならない | 話が違う、となりがち |
| 担当が税理士ではない | 判断に責任が持てません |
| 担当が数年で替わる | 医院の事情を、また一から説明することになります |
| 医療の担当が、その人だけ少ない | 医療特有の論点が抜けます |
いちばん困るのは、2つ目です。 スタッフは、最終的な責任を取れません。 だから「たぶん大丈夫です」とは言えても、「こうしましょう」とは言えない。
結果、「持ち帰って確認します」が増える。 そして確認の返事が遅い。 医院がいちばん多く持つ不満は、ここから生まれます。
担当が経験のある税理士で、所長にも直接つながる。
それなら大きい事務所のいいところだけを取れます。
問題は「大きいから安心」と思い込んで、担当を確かめないことです。
小さい事務所のいいところと、弱いところ
| いいところ | 弱いところ |
|---|---|
| 税理士本人と直接話せる | その人に何かあったら止まる |
| 判断がその場で出る | 受けられる件数に限りがある |
| 医院の事情を全部知っている | 得意分野が偏ることがある |
| 言いにくいことも言える関係になりやすい | 手が回らない時期がある |
小さい事務所の価値は、判断がその場で出ることです。
「この機器、来期に買ったほうがいいですか」と聞いて、 その場で「今期です。理由は——」と返ってくる。 これは、税理士本人としか成立しません。
弱点も正直に書いておきます。受けられる数に限りがあります。 ひとりで見られるのは、せいぜい15〜20法人です。 それを超えると、質が落ちます。
大きさではなく「誰が担当か」
結局、見るべきはここです。
| 面談で聞くこと | |
|---|---|
| ① | 誰が担当になりますか。その方は税理士ですか |
| ② | その方に、契約の前に会わせてもらえますか |
| ③ | 医療の関与先は、その方が何件持っていますか |
| ④ | 判断が要る相談は、所長先生に直接聞けますか |
| ⑤ | 担当が替わることはありますか。替わるときは事前に分かりますか |
④が核心です。ここに即答できる事務所を選んでください。
「所長は忙しいので」「担当が窓口になります」と言われたら、 そこはスタッフで完結する体制だということです。 それが悪いわけではありませんが、知ったうえで選んでください。
医院の規模別に、目安を書きます
| 医院 | 向いている | 理由 |
|---|---|---|
| 個人開業 | 小さい事務所 | 判断が要る場面が多く、その場で答えが要ります |
| ひとり医師法人 | 小さい事務所 | 決めるのは院長と税理士の1対1。人数は要りません |
| 分院あり・スタッフ30人超 | どちらでも | 作業量が増えるので、人手がある強みが出てきます |
| 承継・相続が近い | 続くほうを重視 | 10年20年の話。担当が変わっても続く体制が要ります |
このサイトの読者は、ほとんどがひとり医師法人だと思います。 院長がいて、スタッフが数人から十数人。分院はない。
その規模なら、税理士本人と直接話せることのほうが、事務所の大きさより効きます。 相談したいことが出てくるのは、たいてい急ぎのときです。
最後に、自分のことも書いておきます。 当事務所はひとりでやっています。 だから担当は代表税理士がそのまま務めますし、判断はその場で出します。
そのかわり受けられる件数には限りがありますし、 私に何かあれば止まります。 そこが気になる先生は、大きい事務所を選ばれたほうがいいと思います。 どちらが正解ということはありません。何を優先するかです。
出典:本文の内容は、法令に基づくものではなく、実務上の考え方と筆者の見解です。 税理士業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)が税理士の独占業務であることは 税理士法第2条および第52条による。 受任できる件数や担当体制は事務所によって異なります。いずれも2026年9月時点。
担当は、代表税理士がそのまま務めます。
面談に来た人間が、そのまま担当になります。引き継ぎはありません。 判断が要る相談は、その場でお答えします。 そのかわり、お受けできる件数には限りがあります。 気になる段階でお声がけください。
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最終更新:2026年9月12日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。