スタッフが何十人もいる事務所と、税理士がひとりの事務所。 医院は、どちらを選ぶべきか。

よく「大きいほうが安心」と言われます。半分は当たっています。

ただし大きさより先に見るべきことがあります。「誰が担当になるか」です。 これで、ほとんど決まります。

この記事の結論

大きい事務所のいいところは。
人がいることです。担当が辞めても引き継げる。相続や組織再編の部署がある。事務所がなくなる心配が小さい。この「続く安心」は、小さい事務所には出せません。
では何が問題ですか。
誰が担当になるか分からないことです。面談に来た所長ではなく、経験の浅いスタッフが来ることがあります。スタッフは責任を取れないので、踏み込んだ提案ができません。
ひとり医師法人なら、どちらですか。
税理士本人と直接話せるほうです。院長ひとり+スタッフ数人の医院で、判断が要る場面は毎回、院長と税理士の1対1です。そこに人数は要りません。

大きい事務所のいいところ

 いいところ
引き継げる。担当が辞めても、別の人が続けられます
専門の部署がある。相続、事業承継、組織再編など
事務所がなくなりにくい。所長に何かあっても続きます
提携先が多い。司法書士・社労士・弁護士がそろっていることも

③を軽く見ないでください。税理士も人間です。 病気になることもあれば、亡くなることもある。 ひとりでやっている事務所は、そこで止まります。

出資持分の相続のように、 10年、20年先まで続く話を抱えている医院にとって、 「続くこと」は本当の価値です。

大きい事務所の弱いところ

弱点はひとつに集約されます。誰が担当になるか分からない。

起きることなぜ困るか
面談に来た所長が、担当にならない話が違う、となりがち
担当が税理士ではない判断に責任が持てません
担当が数年で替わる医院の事情を、また一から説明することになります
医療の担当が、その人だけ少ない医療特有の論点が抜けます

いちばん困るのは、2つ目です。 スタッフは、最終的な責任を取れません。 だから「たぶん大丈夫です」とは言えても、「こうしましょう」とは言えない。

結果、「持ち帰って確認します」が増える。 そして確認の返事が遅い。 医院がいちばん多く持つ不満は、ここから生まれます。

大きい事務所が悪いわけではありません

担当が経験のある税理士で、所長にも直接つながる。 それなら大きい事務所のいいところだけを取れます。
問題は「大きいから安心」と思い込んで、担当を確かめないことです。

小さい事務所のいいところと、弱いところ

いいところ弱いところ
税理士本人と直接話せるその人に何かあったら止まる
判断がその場で出る受けられる件数に限りがある
医院の事情を全部知っている得意分野が偏ることがある
言いにくいことも言える関係になりやすい手が回らない時期がある

小さい事務所の価値は、判断がその場で出ることです。

「この機器、来期に買ったほうがいいですか」と聞いて、 その場で「今期です。理由は——」と返ってくる。 これは、税理士本人としか成立しません。

弱点も正直に書いておきます。受けられる数に限りがあります。 ひとりで見られるのは、せいぜい15〜20法人です。 それを超えると、質が落ちます。

大きさではなく「誰が担当か」

結局、見るべきはここです。

 面談で聞くこと
誰が担当になりますか。その方は税理士ですか
その方に、契約の前に会わせてもらえますか
医療の関与先は、その方が何件持っていますか
判断が要る相談は、所長先生に直接聞けますか
担当が替わることはありますか。替わるときは事前に分かりますか

④が核心です。ここに即答できる事務所を選んでください。

「所長は忙しいので」「担当が窓口になります」と言われたら、 そこはスタッフで完結する体制だということです。 それが悪いわけではありませんが、知ったうえで選んでください。

医院の規模別に、目安を書きます

医院向いている理由
個人開業小さい事務所判断が要る場面が多く、その場で答えが要ります
ひとり医師法人小さい事務所決めるのは院長と税理士の1対1。人数は要りません
分院あり・スタッフ30人超どちらでも作業量が増えるので、人手がある強みが出てきます
承継・相続が近い続くほうを重視10年20年の話。担当が変わっても続く体制が要ります

このサイトの読者は、ほとんどがひとり医師法人だと思います。 院長がいて、スタッフが数人から十数人。分院はない。

その規模なら、税理士本人と直接話せることのほうが、事務所の大きさより効きます。 相談したいことが出てくるのは、たいてい急ぎのときです。

最後に、自分のことも書いておきます。 当事務所はひとりでやっています。 だから担当は代表税理士がそのまま務めますし、判断はその場で出します。

そのかわり受けられる件数には限りがありますし、 私に何かあれば止まります。 そこが気になる先生は、大きい事務所を選ばれたほうがいいと思います。 どちらが正解ということはありません。何を優先するかです。

出典:本文の内容は、法令に基づくものではなく、実務上の考え方と筆者の見解です。 税理士業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)が税理士の独占業務であることは 税理士法第2条および第52条による。 受任できる件数や担当体制は事務所によって異なります。いずれも2026年9月時点。

担当は、代表税理士がそのまま務めます。

面談に来た人間が、そのまま担当になります。引き継ぎはありません。 判断が要る相談は、その場でお答えします。 そのかわり、お受けできる件数には限りがあります。 気になる段階でお声がけください。

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最終更新:2026年9月12日

この記事について
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。
税理士・行政書士 山下久幸

税理士・行政書士山下 久幸

福岡で税理士事務所を営む。医療法人の設立・税務と、資産形成・相続サポートを専門とする。

税理士と行政書士の資格を一人で保有し、法人化の判断から認可申請、設立後の顧問、相続の設計までを一貫して担当している。