顧問税理士に、不満はありませんか。
「まあ、こんなものかな」と思っている先生が多い。 でも年間で百万円前後を払っている相手です。 こんなもの、で済ませる金額ではありません。
税理士の側から、よく聞く不満を5つ並べます。 言いにくいことを、代わりに書いておきます。
この記事の結論
- いちばん多い不満は。
- 返事が遅いです。ダントツで。聞いても数日返ってこない、電話がつながらない、急ぎのときに頼れない。次が説明が分かりにくい、そして提案がないです。
- それは我慢すべきですか。
- いいえ。どれも改善を求めていい話です。ただし「言わないと伝わらない」のも事実です。不満を持ったまま黙っている医院が、いちばん多い。
- 言っても変わらなかったら。
- 変えていいと思います。税理士は替えられます。ただし替える前に、いまの不満が本当に税理士のせいなのかだけは確かめてください。資料を出していないのが原因のこともあります。
① 返事が遅い
これが圧倒的です。ほかの不満を全部合わせても、これに並びません。
| よく聞くこと |
|---|
| メールを送っても、何日も返ってこない |
| 電話をしても、担当が外出中で折り返しがない |
| 急ぎで判断が要るときに、つかまらない |
| 返ってきても、結論が書いていない |
最後の「結論が書いていない」も、地味につらい。 「確認します」「場合によります」で止まると、こちらは何も決められません。
「それは経費になりますか」と聞かれたとき、
「なります」「なりません」「こういう条件ならなります」のどれかで答える。
これだけで、ほとんどの不満は消えます。
調べる必要があるなら、「いつまでに答えます」と先に言う。
待たされること自体より、いつ返ってくるか分からないことが不満の中身です。
② 説明が分かりにくい
専門用語のまま話される。何をどうすればいいのか、結局分からない。
これは税理士の側の問題です。 損金算入、課税所得、按分、繰越控除。こちらの業界の言葉であって、先生の言葉ではありません。
| よく言われる | こう言えばいい |
|---|---|
| 損金算入できます | 経費にできます |
| 課税所得が圧縮されます | 税金がかかる利益が減ります |
| 課税の繰り延べです | 税金がなくなるのではなく、払う時期が後ろにずれます |
| 按分してください | 医院で使った分と、自宅で使った分に分けてください |
先生は医療の専門家であって、税金の専門家ではありません。 分からないのは、先生のせいではありません。
遠慮なく「それはどういう意味ですか」と聞いてください。 聞き返されて嫌な顔をする税理士なら、そこが問題です。
③ 提案がない
言われたことはやってくれる。でも、向こうから何か言ってくることがない。
決算が終わって「今期はこうでした」だけ。 来期どうするかの話がない。
| あってほしい提案 | いつ |
|---|---|
| 今期の着地見込みと、打てる手 | 決算の3か月前 |
| 理事報酬をいくらにするか | 決算後3か月以内 |
| 機器を買うなら、どの年がいいか | 買う前の年 |
| 消費税の計算方法をどちらにするか | 年が変わる前 |
| 法人化する/しないの判断 | 収入が伸びてきたとき |
どれも「そのときを過ぎたら、もうできない」ものばかりです。 決算が終わってから言われても遅い。
月次の数字が3か月遅れで出てくる状態だと、提案のしようがありません。
領収書を年に1回まとめて渡している、というのもよくあります。
提案がないのは、材料が渡っていないからかもしれません。ここは両方の問題です。
④ 税理士本人と話せない
毎月来るのはスタッフ。所長の顔は、契約のとき以来見ていない。
日々の記帳のやりとりなら、それで十分です。 問題は判断が要るときです。
スタッフは、最終的な責任を取れません。 だから踏み込んだ提案ができない。「持ち帰って確認します」になる。 その確認が返ってこない——これが①の不満につながります。
「この判断、所長先生にも見ていただけますか」と一度言ってみてください。
すぐ段取りがつくなら、その事務所は大丈夫です。
渋られるようなら、体制の問題です。
大きい事務所と小さい事務所もご覧ください。
⑤ 医療のことを知らない
医院ならではの不満が、これです。
| ありがちなこと |
|---|
| 個人のとき、概算経費と実額を比べていなかった |
| 事業税で、社会保険診療の分が除かれていなかった |
| 消費税の判定に、保険診療を入れて計算していた |
| 事業報告書等の届出と資産総額の変更登記を、やっていなかった |
| 法人化のとき、医師国保を続けられることを知らなかった |
どれも実際にあった話です。そして、どれも金額が大きい。
医療をやっていない税理士が悪い、とは思いません。 医療は特殊すぎるのです。保険診療という、消費税も事業税もかからない売上が主役にある業種は、ほかにありません。
ただ知らないなら、知らないと言ってほしい。 それが言えない事務所だと、先生が損をします。
言えば、たいてい変わります
ここまで5つ書きましたが、いちばん申し上げたいのはここです。
不満を持ったまま、何も言っていない医院が、いちばん多い。
税理士の側からすると、言われるまで気づきません。 毎月ふつうに訪問して、ふつうに帰っている。不満があるとは思っていない。 そしてある日、突然「契約を終わりにします」と言われる。
| 言い方の例 | |
|---|---|
| 返事が遅い | 「メールは何日くらいで返していただけますか」 |
| 分かりにくい | 「いまの話、もう少しかみ砕いていただけますか」 |
| 提案がない | 「決算の3か月前に、着地の見込みを見せてもらえますか」 |
| 本人と話せない | 「この件は所長先生にも見ていただきたいのですが」 |
角が立つ言い方ではありません。要望を伝えるだけです。 これで変わる事務所なら、替える必要はありません。
最後に。 税理士は「先生の味方につけるもの」です。 お金を払って、敵にしても意味がない。
言うべきことを言って、それでも変わらないなら、そのときは 替えることを考えていいと思います。 ただし順番は、言うのが先です。
出典:本文で挙げた不満の内容は、公的な調査に基づくものではなく、 筆者が実務で見聞きしている範囲での傾向です。 社会保険診療報酬の所得計算の特例は租税特別措置法第26条。 個人事業税の非課税は福岡県「個人の事業税」、法人事業税は地方税法第72条の23第2項。 消費税の納税義務の判定は国税庁タックスアンサー No.6501。 事業報告書等の届出は医療法第52条第1項、資産の総額の変更登記は組合等登記令第3条第3項。 いずれも2026年9月時点。
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最終更新:2026年9月12日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。