税務調査で指摘されると、もとの税金だけでは済みません。 罰金にあたるものと、利息にあたるものが上に乗ります。
この2つを、加算税と延滞税といいます。
率はぜんぶ決まっています。そして、いつ気づいて、いつ直したかで、大きく変わります。 早く直すほど安い。その差を知っておいてください。
この記事の結論
- いくら乗るのですか。
- ふつうの間違いなら10%(多い部分は15%)。隠していたと判断されると35%。これに年2.8%〜9.1%の延滞税が、期限の翌日から日割りでかかります。
- 自分で気づいて直したら、どうなりますか。
- 調査の連絡が来る前に直せば、過少申告加算税はゼロです。延滞税だけで済みます。連絡が来たあとでも、調査官に指摘される前なら5%。早いほど安いという、はっきりした仕組みになっています。
- いつまでさかのぼられますか。
- 原則5年です。ただし隠していたと判断されると7年にのびます。実際の調査では、まず3年分を見て、問題があれば5年、悪質なら7年、という進み方が多いです。
乗るものは2種類あります
| 性格 | 金額の決まり方 | |
|---|---|---|
| 加算税 | 罰金にあたるもの | 不足していた税額に、決まった率をかける |
| 延滞税 | 利息にあたるもの | 期限の翌日から納める日まで、日割り |
延滞税は日数で増えます。 ただし期限内に申告していれば、おおむね1年分で打ち切られる決まりがあります。 打ち切りがなくなるのは、隠していたと判断されたときだけです。ここで大きな差がつきます。
加算税の早見表
申告はしていたが、金額が少なかった場合です。
| いつ直したか | 率 |
|---|---|
| 調査の連絡が来る前に、自分で直した | 0% |
| 連絡が来たあと、指摘される前に直した | 5%(多い部分は10%) |
| 調査で指摘されてから直した | 10%(多い部分は15%) |
| 隠していたと判断された | 35% |
「多い部分」というのは、もとの申告で納めた税額と50万円の、どちらか大きいほうを超えた部分のことです。 小さな間違いなら関係ありません。
そもそも申告をしていなかった場合は、もっと重くなります。
| いつ申告したか | 率 |
|---|---|
| 調査の連絡が来る前に、自分で申告した | 5% |
| 調査で指摘されてから申告した | 15%(50万円超は20%、300万円超は30%) |
| 隠していたと判断された | 40% |
期限から1か月以内に自分で申告し、
期限内に申告する意思があったと認められる一定の場合にあたれば、
無申告加算税はかかりません。
気づいたら、とにかく早く出すことです。
延滞税は、年2.8%と9.1%の2段階
| 期間 | 2026年の率 |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月まで | 年2.8% |
| 2か月を過ぎた日以後 | 年9.1% |
2か月を過ぎると3倍以上になります。 借入の金利と比べても高い。納税資金がないときでも、放置がいちばん高くつきます。
なお本来の率は年7.3%と年14.6%ですが、いまは金利水準に合わせて下げられています。 市場の金利が上がれば、この率も上がります。 2026年の率は上の表のとおりです。
同じ間違いで、いくら違うか
3年前の申告で、税金が300万円足りなかったとします。 期限内に申告はしていて、そのとき納めた税額は300万円を超えていたとします。 気づいたタイミングだけを変えて比べます。
| 加算税 | 延滞税 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 自分で気づいて直した | 0円 | 約24万円 | 約24万円 |
| 調査で指摘されて直した | 30万円 | 約24万円 | 約54万円 |
| 隠していたと判断された | 105万円 | 約79万円 | 約184万円 |
同じ300万円の不足でも、上と下で160万円の差がつきます。
期限内に申告していれば、延滞税の計算はおおむね1年分で打ち切られます。
3年前の間違いでも、3年分の利息はつきません。
ところが隠していたと判断されると、この打ち切りがなくなります。
期限の翌日から納めるまで、全期間分がかかります。上の表で延滞税に3倍の差が出ているのは、これが理由です。
くり返すと、さらに10%乗ります
過去5年以内に無申告加算税か重加算税を取られたことがあると、 次はさらに10%上乗せされます。
| 1回目 | 5年以内に2回目 | |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 15% | 25% |
| 重加算税(申告はしていた) | 35% | 45% |
| 重加算税(申告していなかった) | 40% | 50% |
一度重加算税を取られた医院は、次の調査までの期間も短くなります。 記録に残るからです。二度目は、さらに厳しく見られます。
気づいたら、すぐ直すのが安い
この記事で申し上げたいことは、ひとつだけです。
間違いに気づいたら、調査の連絡が来る前に直してください。 それだけで加算税がゼロになります。
| やること | |
|---|---|
| ① | 気づいた時点で、顧問税理士にすぐ言う。隠さない |
| ② | 影響する年分を全部洗い出す |
| ③ | 修正申告を出し、税金を納める |
| ④ | 同じことが起きない形に、経理のやり方を直す |
①で止まってしまう先生がいます。 言いにくいのは分かります。でも黙っていても、調査で出てきます。 そのとき、こちらは何も準備ができていない。いちばん悪い形になります。
最後に。 加算税も延滞税も、払わなくてよかったお金です。 経費にもなりません。 売上の計上時期や 棚卸のように、 やり方を直せば二度と起きないものが、医院の指摘の大半です。 一度だけ手を入れておいてください。
出典:過少申告加算税は国税庁タックスアンサー No.2026「確定申告を間違えたとき」 (調査通知前の自主的な修正申告は課されない、調査通知以後・更正予知前は5%〔期限内申告税額と50万円の いずれか多い額を超える部分は10%〕、更正予知以後は10%〔同15%〕)。 無申告加算税は同 No.2024「確定申告を忘れたとき」 (50万円までは15%、50万円超300万円までは20%、300万円超は30%。調査通知前の自主的な期限後申告は5%。 法定申告期限から1か月以内の自主的な申告など一定の場合は課されない)。 重加算税の割合(35%・40%)および5年以内に繰り返した場合の10%加重は、 国税庁「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」による。 延滞税の割合(2026年は納期限の翌日から2か月まで年2.8%、それ以後は年9.1%)は同 No.9205「延滞税について」。 期限内申告書が提出されていて法定申告期限後1年を経過してから修正申告または更正があったときに、 一定の期間を延滞税の計算期間に含めない特例(偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等を除く)も同ページによる。 更正・決定の期間制限(原則5年、偽りその他不正の行為があった場合は7年)は国税通則法第70条第1項・第5項。 試算は分かりやすさを優先した目安です。いずれも2026年9月時点。
気になることがあるなら、調査が来る前にご相談ください。
「あの処理は大丈夫だったか」という心当たりがあるなら、いまが動きどきです。 調査の連絡が来る前に直せば、加算税はかかりません。 影響する年分の洗い出しから、修正申告まで一緒に進めます。守秘義務がありますので、そのままお話しください。
無料相談を申し込む9つの質問で、先生の医院で「できそうな節税」だけを選び出します。
LINEにご登録いただいた先生に、限定ページ「医療法人の節税チェックリスト(84項目)」をお送りしています。
9つの質問に答えるだけ(約2分)で、84項目の中から先生の医院でできそうなものだけが残る「かんたん診断」付き。
結果からそのまま解説記事に飛べて、チェックした内容はスマホに残ります。
LINEで、節税チェックリスト84項目を受け取る
※ こちらから営業のご連絡をすることはありません。
※ 決算書などの資料は、セキュリティのためLINEではお送りにならないでください。
個別のご相談はお問い合わせフォームからお願いします。
最終更新:2026年9月11日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。