毎月、税理士から試算表が届く。 見ていますか。

正直に言えば、ほとんどの先生は見ていません。 数字が並んでいて、どこを見ればいいか分からないからです。

3か所だけで十分です。そこだけ見てください。

この記事の結論

どこを見ればいいですか。
①現預金の残高 ②去年の同じ月との比較 ③今期の着地見込み。この3つです。細かい科目は見なくていい。
なぜ去年と比べるのですか。
医院は季節で大きく動くからです。インフルエンザの流行る12月と、盆のある8月を比べても意味がありません。比べるのは、去年の同じ月です。
いつまでに届くべきですか。
翌月の20日ごろまでが目安です。3か月遅れで届いているなら、それは記録であって、経営には使えません。税理士に早めてもらってください。

① 現預金の残高

いちばん最初に見るのは、いくら持っているかです。

利益より先に、ここです。お金がなくなれば、利益が出ていても続けられません。

見ること目安
いまの残高は、月商の何か月分か最低2か月、できれば3か月
3か月前と比べて、増えているか減っているか減り続けているなら要注意
借入残高と、どちらが多いか現預金が上回れば実質無借金

「増えているか、減っているか」だけでも見てください。 3か月連続で減っていたら、何かが起きています。

② 去年の同じ月と比べる

先月と比べても、意味がありません。医院は季節で動くからです。

時期医院で起きること
12月〜2月内科は繁忙。インフルエンザ、風邪
3月〜4月異動・入学のシーズン。健診も動きます
8月お盆で休診。患者さんも旅行
春・秋歯科は比較的動きやすい

比べるのは、去年の同じ月です。 「去年の9月より、今年の9月はどうか」。これだけで、実力が分かります。

試算表に前年同月の欄がないなら、付けてもらってください。 これは頼んでいいことです。

③ 今期の着地見込み

3つ目が、いちばん大事です。

「このままいくと、今期はいくらで終わるか」 そして「税金はいくらになるか」。

いつ分かるかできること
決算の3か月前まだ打てる手がたくさんあります
決算の1か月前できることは、かなり減ります
決算が終わってから何もできません

着地の見込みを出してもらっていない医院が、本当に多い。 毎月の試算表は届くのに、「で、今期はどうなりそうか」の話がない。

「決算の3か月前に、着地の見込みと税額を出してください」 これを顧問税理士に伝えてください。それだけで変わります。

医院で、特に見ておきたい科目

科目見るところ
未収金2か月分の保険収入がきちんと載っているか(期ズレの防止)
人件費率売上に対して何%か。去年と比べる
材料費率同じく。歯科なら技工料もあわせて
役員貸付金増えていないか。増えていたら、その月に止める
借入金予定どおり減っているか

「率」で見るのがコツです。金額だけだと、売上が増えれば増えるのは当たり前。 売上に対して何%かで見ると、良くなったのか悪くなったのかが分かります。

役員貸付金は、毎月チェックしてください。 年に1回、決算で気づくと、もう手遅れな額になっています。

肌感覚と数字が、ずれていませんか

試算表を見る、いちばんの目的はこれです。

先生の実感と、数字を突き合わせること。

感じていること数字を見て確かめる
「今月は忙しかった」なのに利益が去年より少ないなら、何かが増えています
「患者さんが減った気がする」数字でも減っているか。単価は変わっていないか
「自費が増えてきた」実際に何%になったか。1,000万円に近づいていないか
「人を増やしすぎたかも」人件費率が去年から何ポイント上がったか

ずれていたら、そこに原因があります。 「忙しいのに儲かっていない」は、医院でいちばんよくある形です。 単価が下がっているのか、経費が増えているのか。数字を見ないと分かりません。

遅い試算表は、意味がありません

届く時期使えるか
翌月20日ごろまで使えます。手が打てます
翌々月ぎりぎり
3か月以上あと記録です。経営には使えません

遅い原因は、たいてい資料を渡すのが遅いことです。 領収書を数か月分ためて渡している、通帳を年に1回しか見せていない。 これだと、税理士も作れません。

クラウド会計を使えば、通帳とカードは自動で取り込めます。 領収書はスマホで撮るだけ。ここを変えると、試算表が早くなります。

最後に。 試算表は、税務署のために作るものではありません。先生が経営を判断するためのものです。

現預金・去年との比較・着地見込み。この3つだけでいい。 毎月5分で終わります。それだけで、決算の3か月前に手が打てるようになります。 そして、銀行に持っていける「数字の書類」にもなります。

出典:本文の内容は、法令に基づくものではなく、実務上の考え方と筆者の見解です。 社会保険診療報酬の請求から支払までの流れは、社会保険診療報酬支払基金および 国民健康保険団体連合会の公表内容による。 売上の計上時期は法人税法第22条第4項・法人税基本通達、所得税法第36条・所得税基本通達36-8。 試算表の提供時期や記載事項は、顧問契約の内容によって異なります。 いずれも2026年9月時点。

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直近の試算表をお持ちください。どこを見ればいいか、先生の医院の数字でご説明します。 前年同月の比較や着地見込みが入っていないなら、いまの税理士に何を頼めばいいかもお伝えします。 乗り換えの営業はしません。

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最終更新:2026年9月12日

この記事について
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。
税理士・行政書士 山下久幸

税理士・行政書士山下 久幸

福岡で税理士事務所を営む。医療法人の設立・税務と、資産形成・相続サポートを専門とする。

税理士と行政書士の資格を一人で保有し、法人化の判断から認可申請、設立後の顧問、相続の設計までを一貫して担当している。