顧問料が高いのか安いのか、比べたことがありますか。
医院の顧問料は、年間で百万円前後になることが少なくありません。 10年で1,000万円です。それなりの買い物です。
なのに「いくらで、どこまでやってもらえるのか」を知らないまま払い続けている先生が、本当に多い。 相場と、その決まり方を書きます。うちの金額も出します。
この記事の結論
- 相場はいくらですか。
- 一般の中小企業なら顧問料が月2〜5万円、決算料が10〜30万円。年間で20〜80万円あたりが中心です。医療法人はもう少し上がって、年50〜100万円くらいが多い印象です。
- 何で金額が変わるのですか。
- 大きく3つ。①訪問の回数 ②帳簿を誰がつけるか ③頼む業務の範囲です。規模よりも、この3つで決まります。だからこの3つを動かせば、顧問料は下げられます。
- 安ければいいのですか。
- いいえ。安い事務所は、安くできる理由があります。訪問しない、担当が税理士ではない、業務の範囲が狭い。それで納得できるなら正解です。知らずに安いほうを選ぶのが、いちばん危ない。
相場の目安
| 一般の中小企業 | 医療法人 | |
|---|---|---|
| 顧問料(月) | 2〜5万円 | 3〜10万円 |
| 決算料(年1回) | 10〜30万円 | 15〜30万円 |
| 年間の合計 | 20〜80万円 | 50〜100万円 |
ずいぶん幅があります。これが実態です。 同じ規模の医院でも、2倍以上ちがうことがあります。
なお個人でクリニックをやっている場合は、これより下がります。 そもそも税理士が要るかどうかから考えていい段階です。 くわしくは税理士をつけるタイミングに書きました。
医療法人だと、なぜ上がるのか
医療法人は、株式会社よりやることが多いのです。
| 株式会社にはないもの | |
|---|---|
| ① | 事業報告書等の届出。会計年度が終わって3か月以内に、都道府県へ |
| ② | 資産の総額の変更登記。事業年度の末日から3か月以内に、毎年 |
| ③ | 社員総会・理事会の議事録 |
| ④ | 保険診療と自費を分けた消費税の計算 |
| ⑤ | 社会保険診療分を除いた事業税の計算 |
①と②は、税務署とは関係のない手続きです。 期限は決算から3か月。放っておくと毎年たまります。
④と⑤は、保険診療が消費税も事業税も対象外だから起きる、医療だけの計算です。 事業税と 消費税の記事もあわせてご覧ください。
金額を決めている3つのこと
| 何で決まるか | 影響 | |
|---|---|---|
| ① | 訪問の回数 | 毎月/3か月に1回/年1回で、大きく変わります |
| ② | 帳簿を誰がつけるか | 医院でつけるか、事務所に丸投げか |
| ③ | 頼む業務の範囲 | 給与計算・年末調整・届出まで入るか |
売上の規模も見られますが、いちばん効くのは①の訪問回数です。
税理士事務所の原価は、ほぼ人件費です。 毎月行けば、移動と打ち合わせで半日は使います。 それが年12回。この時間の分が、そのまま金額に乗っています。
顧問料を下げる3つの方法
税理士の側から、正直に書きます。この3つで下がります。
| やること | 目安 | |
|---|---|---|
| ① | 訪問の回数を減らす。毎月 → 3か月に1回 | 月5万円 → 3万円くらい |
| ② | 帳簿を医院でつける。クラウド会計を使う | 入力の手間の分だけ下がります |
| ③ | 決算だけ頼む。顧問契約をやめる | いちばん安い。ただし相談はできません |
①は、言えば応じてもらえることが多いです。事務所の稼働が減るからです。 「毎月来てもらっているが、正直そこまで話すことがない」という医院なら、交渉の余地があります。
②は、いまはクラウド会計があるので現実的になりました。 領収書の写真を撮って、通帳を連携する。それだけで入力がかなり減ります。
③は、おすすめしません。 相談できないと、決算の3か月前に打てる手がなくなります。 決算3か月前にできることは、意外と多いのです。
同じ金額で、いまやってもらっていないことを頼めないか聞いてみてください。
月次の業績報告、資金繰りの見通し、銀行への説明資料。
払っている金額は同じでも、受け取るものが増えれば、実質的に安くなります。
含まれていないものを、確かめてください
「顧問料に入っていると思っていた」——これが、いちばん多いもめごとです。
| 別料金になりやすいもの |
|---|
| 年末調整 |
| 法定調書・給与支払報告書 |
| 償却資産税の申告 |
| 消費税の申告 |
| 理事長個人の確定申告 |
| 給与計算 |
| 事業報告書等の届出・資産総額の変更登記 |
| 税務調査の立ち会い |
| 銀行に出す資料の作成 |
この一覧を持って、顧問契約書を見てください。 どれが入っていて、どれが別料金で、いくらなのか。 書いていなければ、聞いて書き足してもらう。
くわしくは顧問契約書のどこを見るかに書きました。
うちの金額も書いておきます
比べていただくために、当事務所の金額を出します。
| 金額(税別) | |
|---|---|
| 顧問料 | 月60,000円 |
| 決算料 | 200,000円(年1回) |
| 消費税の申告 | 60,000円(年1回・課税事業者の場合のみ) |
| 年間の合計 | 980,000円 |
医業収入1億円以下・分院なしの医療法人の金額です。 クラウド会計の利用料(年35,760円〜・税別)は含まれません。
相場の上のほうです。安くはありません。 そのかわり、担当は代表税理士がそのまま務めます。スタッフに引き継ぎません。 医療法人の届出も登記の段取りも、銀行への説明資料も、この中に入っています。
最後に、いちばん言いたいことを。 顧問料は、高い安いではなく「見合っているか」で判断してください。
年98万円払って、税金が200万円変わるなら安い。 年40万円払って、帳簿を作るだけで相談に乗ってもらえないなら高い。 金額だけを比べても、答えは出ません。 いま何をしてもらっているかを、一度書き出してみてください。
出典:顧問料の相場に関する記述は、公的な統計に基づくものではなく、 筆者が実務で見聞きしている範囲での目安です。 医療法人の事業報告書等の届出は医療法第52条第1項(毎会計年度終了後3月以内)。 資産の総額の変更登記は組合等登記令第3条第3項(毎事業年度末日から3月以内)。 消費税の非課税は消費税法別表第二第6号。事業税の取扱いは地方税法第72条の23第2項。 当事務所の料金は2026年9月時点のもので、医業収入1億円以下・分院なしの医療法人の場合です。
いまの顧問料が見合っているか、一緒に見ます。
顧問契約書と、直近の決算書。この2つがあれば、 いくら払って、何をしてもらっているかを一覧にできます。 そのうえで、下げられるところと、増やしたほうがいいところをお伝えします。 乗り換えの営業はしません。いまの事務所で交渉する材料としてお使いください。
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最終更新:2026年9月12日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。