長く続けていると、借入の本数が増えます。
開業のときの公庫。5年前に入れたユニット。去年の運転資金。リース。 通帳から毎月、何本も引き落とされている。
これを1本にまとめると、資金繰りが変わります。 ただしメリットだけではありません。両方書きます。
この記事の結論
- 一本化とは何ですか。
- いくつもある借入を新しい1本の借入でまとめて返してしまうことです。期間を長く取り直せるので、毎月の返済額が下がります。管理も楽になります。
- いいことばかりですか。
- 違います。利息の総額は増えます。期間が延びるからです。それと、まとめた直後は追加で借りにくくなることがあります。
- いつやるべきですか。
- 返済が重いと感じたとき、そして業績が良いうちです。苦しくなってからだと、条件が悪くなるか、断られます。金利が上がる局面なら、固定への組み替えも兼ねられます。
一本化で、何が変わるか
3本の借入をまとめた例で見ます。
| 残高 | 残り期間 | 毎月の返済 | |
|---|---|---|---|
| 公庫(開業時) | 800万円 | 4年 | 約17万円 |
| 銀行(機器) | 1,200万円 | 3年 | 約34万円 |
| 銀行(運転資金) | 500万円 | 2年 | 約21万円 |
| 合計 | 2,500万円 | — | 約72万円 |
どれも金利1.5%として計算しています。
これを2,500万円・10年で1本にまとめると、毎月の返済は約22万円。
毎月約50万円、年間で約600万円が手元に残ります。 この差は大きい。
| 効果 | |
|---|---|
| ① | 毎月の返済が軽くなる |
| ② | 手元のお金が増える。実質無借金に近づきます |
| ③ | 引き落としが1本になり、管理が楽 |
| ④ | 返済の余裕が生まれ、銀行の評価も上がります |
| ⑤ | 金利の高いものを、低いものに置き換えられることがあります |
デメリットも書きます
| 注意点 | |
|---|---|
| ① | 利息の総額は増えます。期間が延びるからです |
| ② | 返し終わる時期が、後ろにずれます。院長の年齢を考えてください |
| ③ | まとめた直後は、追加で借りにくいことがあります |
| ④ | 公庫の低金利のものまで、高い金利に置き換わることがあります |
| ⑤ | 手数料・保証料がかかります |
④に注意してください。 金利の低い借入まで、まとめて高い金利にしてしまうのはもったいない。 全部をまとめる必要はありません。高いものだけをまとめる、という組み方もできます。
②も現実的です。60代で10年に組み直すと、70代まで返済が続きます。 出口の時期と合っているか、確かめてください。
借換えという手もあります
まとめずに、1本だけ組み直すのが借換えです。
| 場面 | やること |
|---|---|
| 金利の高い借入がある | 低いものに置き換える |
| 変動で借りている | 固定に組み替える |
| 返済がきつい1本がある | その1本だけ期間を延ばす |
| 保証人を外したい | 借換えのタイミングで交渉する |
いまは金利が上がる局面です。 変動で借りている分があるなら、固定への組み替えを検討する価値があります。
そして借換えは、保証人を外す交渉のいちばんの機会です。 条件を全部組み直す場面なので、切り出しやすい。
いつやるか
| タイミング | できるか |
|---|---|
| 業績が良いとき | いちばん通ります。条件も良くなります |
| 返済が重いと感じ始めたとき | まだ間に合います |
| 手元のお金が減ってきたとき | 急いでください |
| 返済が滞ってから | ほぼ通りません |
ここでも同じです。困ってから行くと、通りません。
「いまは払えているけれど、毎月きつい」——その段階が動きどきです。 決算書がまだ良いうちに、組み直してください。
余裕があるからと繰上返済をして、そのあと苦しくなって借換えを頼む。
これがいちばん悪い形です。
繰上返済はしないでください。
手元にお金を置いたまま、返済は予定どおり続ける。これが基本です。
どう切り出すか
言い方は、これで十分です。
「借入が何本かあって、毎月の返済が重くなっています。まとめて組み直せませんか」
| 持っていくもの | |
|---|---|
| ① | 借入の一覧(借入先・残高・金利・毎月の返済額・残り期間) |
| ② | 直近3期の決算書 |
| ③ | 直近の試算表 |
| ④ | まとめたら毎月いくらになるかの希望 |
①を自分で作ってください。一覧にするだけで、話が早くなります。 そして作ってみると、意外と本数が多いことに驚かれるはずです。
④も伝えていい。「毎月30万円くらいに収めたい」と言えば、 銀行はその金額から期間を逆算してくれます。
最後に。 借入をまとめるのは、後ろ向きな手ではありません。 毎月の返済を軽くして、手元にお金を残す。攻めるための組み直しです。
まず借入の一覧を作ってみてください。 何本あって、毎月いくら返していて、いつ終わるのか。 それを把握していない先生が、驚くほど多いのです。
コロナのときに借りた分があるなら、条件を確かめてください。→ コロナ融資を、いまの金利で組み直す
出典:試算は元利均等返済を前提とした概算で、実際の返済額・利息総額は返済方式、 端数処理、手数料、保証料の有無によって変わります。 借換え・一本化の可否および条件は金融機関の判断によります。 本文の考え方は実務上のものであり、公的な基準に基づくものではありません。 経営者保証に関するガイドライン(平成25年12月、経営者保証に関するガイドライン研究会)。 いずれも2026年9月時点。
借入の一覧、一緒に作りませんか。
返済予定表をお持ちいただければ、本数・残高・金利・毎月の返済額を1枚にまとめます。 そのうえで、まとめたら毎月いくらになるかを試算して、銀行に持っていく資料まで作ります。 業績が良いいまのうちが、いちばん通りやすいタイミングです。
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最終更新:2026年9月12日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。