「調査は何年おきに来るのか」「秋が危ないと聞いた」
よく聞かれますが、決まりはありません。 何日前に連絡するかも、法律では定められていません。
決まっているのは別のことです。 提示された日に、必ず合わせる必要はない。これは国税庁がはっきり書いています。
この記事の結論
- 何日前に連絡が来ますか。
- 決まっていません。国税庁も「何日程度前かを一律に示すことは困難」としています。ただし準備ができるよう、相当の時間的余裕を置いて行うことになっています。実務では2〜3週間前が多いです。
- 日程は変えられますか。
- 変えられます。入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情。そしてそれ以外でも「理由が合理的と考えられれば変更を協議する」と明記されています。申し出は口頭でかまいません。書類は要りません。
- 連絡は書面で来ますか。
- 来ません。事前通知は原則、電話による口頭です。「書面でください」と頼んでも、交付されません。だから電話を受けた人が、その場でメモを取る必要があります。
連絡は電話で来ます。書面はもらえません
事前通知のやり方は、法律では決まっていません。 実際には電話で、口頭で行われます。
そして「内容を書面でください」と頼んでも、もらえません。 国税庁が公表している質問と回答に、はっきりそう書いてあります。
顧問税理士がいて、税務代理の届出が出ていれば、税務署は税理士に連絡します。 医院に直接かかってくることは、あまりありません。
医院に税理士が2人以上ついている場合、
「この税理士に連絡してください」と代表を決めておくことができます。
税務代理権限証書にその旨を書いておく必要があります。
決めていないと、委任している税理士全員に連絡が行きます。
電話でメモすること
書面がもらえない以上、電話の内容がすべてです。 受けた人が、その場で必ずメモしてください。
| メモすること | |
|---|---|
| ① | 調査官の名前と所属(署名・部門) |
| ② | 開始する日時と場所 |
| ③ | 調査の目的 |
| ④ | どの税金か(法人税・消費税・源泉所得税など) |
| ⑤ | 何年分か |
| ⑥ | 用意しておく帳簿・書類 |
④と⑤が特に大事です。 対象の税金と年数で、備え方が変わります。
源泉所得税が入っていれば非常勤の先生への支払いを見られます。 消費税が入っていれば、自費の売上と仕入の区分を見られます。 受付のスタッフが電話を取った場合、ここまで聞き取れません。 「税理士に連絡してください」と伝えるよう、決めておいてください。
日程は、堂々と相談してよい
国税庁が公表している質問と回答には、こう書かれています。
事前通知のときにあらかじめ都合を尋ねることにしている、 通知したあとでも一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情があれば変更を協議する、 そしてそれ以外でも「理由が合理的と考えられれば変更を協議する」と。
| 医院で言える理由 |
|---|
| その日は予約が埋まっていて、診療を止められない |
| 学会・出張の予定が入っている |
| 決算期・確定申告期で、資料が整わない |
| 顧問税理士の都合がつかない |
日時や場所の変更を申し出る方法は、法令で決められていません。
国税庁も「口頭による申出で差し支えない」としています。
書類を作る必要はありません。電話で伝えるだけです。
ただし引き延ばしすぎは良くありません。 その間も延滞税は増えますし、印象も良くない。 2〜3週間先に落ち着くのが、ふつうです。
医院が選ぶべき日
どうせ相談できるなら、いい日を選んでください。
| 理由 | |
|---|---|
| 休診日 | いちばん落ち着いて対応できる |
| 午後が休診の日 | 午前中の聞き取りに集中できる |
| 避けたい日 | 予約が埋まっている日、レセプト請求の時期(月初) |
調査は初日の午前中がいちばん大事です。 そこで先生が落ち着いて話せるかどうかで、その後が変わります。 診療の合間に呼ばれて、断片的に答えるのが、いちばん良くありません。
連絡なしで来ることもあります
法律上、事前の連絡をしない場合が認められています。
申告内容、過去の調査結果、事業の内容などから、 先に知らせると正確な把握が難しくなるおそれがあると判断されたときです。
医院では多くありませんが、自費の現金が多い医院では、ないとは言えません。
なぜ連絡しなかったのか、その理由を説明する決まりはありません。
連絡しなかったこと自体は、不服申立ての対象にもなりません。
ただし来たあとで、どの税金の何年分を、何の目的で調べるのかは、速やかに説明されることになっています。
何年おきに来るのか
ここからは、法律の話ではなく実務の経験則です。 決まりがあるわけではないので、目安として読んでください。
| 目安 | |
|---|---|
| 間隔 | 5〜10年に1回。ただし規模や内容で大きく変わります |
| 来やすい医院 | 開業・法人化から数年たった、自費が伸びている、前回の指摘を直していない |
| 時期 | 秋が多いと言われます。税務署の1年が7月に始まるためです |
| 少ない時期 | 確定申告の時期(2月〜3月中旬) |
ただしこれを当てにしないでください。 「うちはまだ来ていないから大丈夫」という考え方が、いちばん危ない。
来る時期は選べませんが、備えは選べます。 前日までに揃えるものと、 やってはいけない3つのことを先に見ておいてください。
最後に。 電話が来たら、まずやることは1つです。 顧問税理士に、その日のうちに連絡する。 日程の相談も、準備の指示も、そこから始まります。 慌てて自分で答えを決めないでください。
出典:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」。 事前通知の方法(原則として電話により口頭で行う/要望に応じて書面を交付することはない)は問12。 通知の時期(何日程度前かを一律に示すことは困難/相当の時間的余裕を置いて行う)は問13。 税務代理人が複数ある場合の代表の定めは問15。 調査開始日時の変更(一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情等/ それ以外でも理由が合理的と考えられれば変更を協議する)は問16。 変更の申出の方法(口頭による申出で差し支えない)は問17。 事前通知を行わない場合および理由の説明・不服申立ての可否は問20・問21。 関係する法令は国税通則法第74条の9・第74条の10。 調査の間隔や時期についての記述は、法令に基づくものではなく実務上の経験則です。いずれも2026年9月時点。
調査の連絡が来たら、その日のうちにご相談ください。
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最終更新:2026年9月11日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断を保証するものではありません。記載の制度・取扱いは執筆時点(2026年9月)のものであり、その後の制度改正等により変更される場合があります。加入資格の可否は個別の事情によって異なりますので、実際のご判断にあたっては、必ず中小機構および税理士等の専門家にご確認ください。