「福岡 医療法人 税理士」で検索すると、たくさんの事務所が出てきます。 どこも「医療に強い」と書いてあります。 ホームページだけでは、違いが分かりません。
この記事は、福岡で医療法人の顧問税理士を探している院長のためのものです。 いま個人で開業していて、法人化を考え始めた先生にも使えます。
結論から書きます。 医療法人にしかない手続きと、福岡の日程を知っているか。 これを初回面談の質問で確かめてください。 確かめる点は7つです。質問の言い方まで、そのまま使える形で書きました。
この記事の結論
- 福岡で医療法人に強い税理士は、どう選べばいいですか。
- 初回面談で、7つのことを質問して確かめます。医療法人の担当経験、設立認可まで頼めるか、出資持分と相続、融資、担当者は誰か、月次の数字がいつ出るか、料金が最初から見えるか。答え方で、医療法人をどれだけ見てきたかが分かります。
- 福岡の医療法人ならではの注意点はありますか。
- あります。設立の受付は福岡県が年2回の日程で行っています。法人の事務所と医院がすべて福岡市内なら、設立後の手続きの窓口は福岡市です。福祉医療機構の融資は、福岡市内で新しく開く診療所には原則として使えません。
- いつまでに税理士を決めればいいですか。
- 法人化を考えているなら、県の受付の半年前には決めておくのが安全です。1回逃すと、次の受付まで半年待つことになります。
医療法人の税務は、一般の会社と何が違うか
医療法人の税理士選びで大事なのは、一般の会社との違いを知っているかです。 主な違いを並べます。
| 項目 | 医療法人 | 一般の会社(株式会社) |
|---|---|---|
| 利益の分け方 | 配当できません | 配当できます |
| 出資持分 | 2007年(平成19年)の医療法改正のあとに設立した法人は持分なし。それより前の「持分あり」の法人は、持分が理事長の相続財産になります | 株式が相続財産になります |
| 事業税 | 社会保険診療の所得には、かかりません | 所得全体にかかります |
| 消費税 | 保険診療は非課税。自費(インプラント・矯正・美容など)は課税 | 売上の多くが課税 |
| 健康保険 | 手続きをすれば、医師国保・歯科医師国保を続けられる場合があります | 協会けんぽか健保組合 |
| 毎年の手続き | 決算のあと3か月以内に、事業報告書等の届出と資産の総額の変更登記 | ありません |
| 借入先 | 医療機関だけが使える福祉医療機構があります | 公庫・銀行など |
配当ができないので、利益は法人にたまり続けます。 持分ありの法人では、たまった利益の分だけ持分の評価が上がり、相続のときに重くなります。 くわしくは医療法人は配当ができないと 持分あり医療法人の相続に書きました。
消費税も、一般の会社と逆の結論になることが多いです。 保険診療が非課税なので、払った消費税がほとんど戻りません。
医師国保・歯科医師国保は、法人になったときに手続きをしないと続けられません。 日本年金機構の案内では、事実が発生した日から14日以内の申請が必要です。 期限が短いので、法人化の段取りに最初から入れておくものです。 詳しくは医療法人化と社会保険にあります。
事業報告書等の届出と資産の総額の変更登記は、株式会社にはない手続きです。 登記を怠ると過料の対象になり得ます。 一般の会社を中心に見ている事務所だと、ここが抜けることがあります。
福岡の医療法人に加わること
ここからは、福岡で医療法人をつくる・持つときの話です。 福岡県と福岡市の案内で確かめられたことだけを書きます。
設立の受付は、年2回です
福岡県は、医療法人の設立を年2回受け付けています。 説明会を受けてから、仮申請、本申請と進みます。 例年の予定は次のとおりです。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 事前申込 | 5月上旬〜6月下旬頃 | 9月上旬〜10月中旬頃 |
| 仮申請 | 5月上旬〜7月中旬頃 | 9月上旬〜11月中旬頃 |
| 本申請 | 8月上旬〜8月末頃 | 12月上旬〜12月下旬頃 |
| 審議会 | 11月下旬頃 | 翌年2月下旬頃 |
| 認可書の交付 | 12月下旬頃 | 翌年3月下旬頃 |
細かい日程は年度ごとに変わるので、毎回の福岡県の案内を確かめます。事前申込を逃すと、次の受付まで半年待つことになります。
申し込めるのは、本申請の受付日の時点で、個人で医療機関を1年以上経営している先生です。 開業して1年たたないうちは、申し込めません。
認可書が出たら終わりではありません。 そのあと設立登記、保健所への開設の手続き、厚生局への保険医療機関の指定申請と続きます。 1回逃すと半年待つので、税理士には「どの回に出すか」から逆算してもらう必要があります。
医科の診療所で、福岡県医師会の会員が一人医師医療法人(常勤の医師が1人か2人の小さな医療法人)をつくるときは、 県ではなく福岡県医師会の説明会を受ける案内になっています。
福岡市内だけの法人は、窓口が福岡市になります
設立したあとの手続きの窓口は、法人の事務所と医院がどこにあるかで決まります。
| 法人の事務所と医院の場所 | 手続きの窓口 |
|---|---|
| すべて福岡市内 | 福岡市(医院のある区の衛生課 医薬務係) |
| すべて北九州市内など、1つの市・地域の中 | その市、または県の保健福祉(環境)事務所 |
| 市の外にも分院があるなど、複数の地域にまたがる | 福岡県(医療指導課) |
たとえば、福岡市早良区の歯科医院が糸島市に分院を出すと、窓口は福岡市から県に変わります。 また、福岡市が窓口の法人でも、合併・分割・解散などは県が扱います。 分院や再編を考えるときは、どこに何を出すかから確かめる必要があります。
福祉医療機構は、福岡市の新規開業では原則使えません
福祉医療機構は、診療所が「足りない地域」で新しく開くときに建物のお金を貸します。 2026年度の区分では、福岡市は一般の診療所も歯科も「足りている地域」です。 福岡市で新しく開くときは、在宅療養支援診療所などに当たらない限り、新築資金は原則として使えません。 すでにある診療所の建て替えや、物価高騰の資金は使えます。 くわしくは福祉医療機構(WAM)で借りるにまとめました。
確かめたいこと①〜④ 医療法人の中身を知っているか
ここから7つです。 前半の4つは、医療法人の中身をどれだけ知っているかを確かめる質問です。
① 医療法人の担当経験
いま何件の医療法人を見ているか。医科と歯科のどちらが多いか。 件数そのものより、質問への答え方を見てください。 医療法人を多く見ている税理士なら、こちらが言う前に事業報告書や資産の総額の登記の話が出てきます。
「いま医療法人は何件くらい担当していますか。医科と歯科、どちらが多いですか」
「決算のあと、県や市に出すものと、登記が要ると聞いたのですが」
「事業報告書等の届出と、資産の総額の変更登記ですね。どちらも3か月以内です」と返ってくれば、分かっています。
医療の税務に詳しいかを確かめる質問は、医療法人に強い税理士の見分け方にも5つ書いています。あわせて使ってください。
② 設立認可まで頼めるか
医療法人の設立認可の申請書を作るのは、行政書士の仕事です。 税理士の資格だけでは、作れません。 税理士と行政書士が別の事務所だと、「節税の試算をした人」と「申請書を作る人」が分かれます。 役員構成や役員報酬の決め方が、途中で行き違うことがあります。
なお、設立登記は司法書士の仕事です。 どの部分を誰がやるのか、窓口は誰か。ここを最初にはっきりさせます。
「設立認可の申請書は、どなたが作りますか」
「県の受付の、どの回に出す前提ですか。いつまでに何を決めればいいですか」
年2回の受付から逆算して、月ごとの段取りを言えるかどうかを見てください。
③ 出資持分と相続まで見られるか
2007年より前に設立した「持分あり」の法人なら、持分の評価と相続が大きな論点です。 理事長が亡くなると、持分は相続財産になります。 相続人から法人に、持分の払い戻しを求められることもあります。
これから設立する法人は持分なしなので、この心配はありません。 かわりに、理事長の退職金をどう準備するかを、設立のときから考えておきます。 理事長退職金と医療法人の出口もあわせてご覧ください。
持分ありの先生:「うちの法人の持分は、いまどのくらいの評価になりますか。相続のとき、何が起きますか」
これから設立する先生:「設立のときに、退職金のことまで考えておく必要はありますか」
「決算書を見て、評価を出してみましょう」と、具体的な手順の話になるかを見てください。
④ 融資の実績
医院の資金需要は、突然きます。 内科ならCTや内視鏡の入れ替え。歯科ならユニットの増設や分院。 どれも数千万円の単位です。
日本政策金融公庫、福祉医療機構、地銀・信金。 どこから借りるかで、期間も金利も変わります。 決算書を渡して終わりではなく、事業計画や資金繰り表まで一緒に作れるかが分かれ目です。 使い分けは公庫・福祉医療機構・地銀の使い分けに書きました。
「来年、CTを3,000万円で入れ替えたいとしたら、どこに、どう相談しますか」
「銀行に出す資料は、作ってもらえますか」
借入先の候補と、返済期間の考え方がその場で出てくれば、融資を扱っています。
確かめたいこと⑤〜⑦ 付き合い方が見えるか
後半の3つは、契約したあと、どう付き合うことになるかを確かめる質問です。 知識より、こちらのほうが毎月の満足度に効きます。
⑤ 担当者は誰か
面談に来た税理士と、契約後に毎月来る担当者が違うことは、よくあります。 誰が担当でもかまいません。 大事なのは、判断が要る相談が、税理士本人に届くかどうかです。
「誰が担当になりますか。その方は税理士ですか」
「役員報酬や借入など、判断が要る相談は、どなたが答えますか」
「担当の方が替わることはありますか」
事務所の規模による違いは、大きい事務所と小さい事務所に書きました。
⑥ 面談の頻度と、月次の数字の出方
医院の売上は、保険診療の分が診療した月の2か月後に入金されます。 入金の月で売上を入れていると、毎月の試算表がずれます。 税務調査でも、ここはよく見られます(保険診療の売上の計上時期)。
前の月の数字がいつ出るか。どの月の診療分として出るか。 それが分かっていれば、役員報酬を変える時期にも、機器を買う判断にも間に合います。 試算表の見方は毎月の試算表、どこを見るかにまとめています。
「前の月の数字は、いつ見られますか」
「保険の売上は、診療した月で入りますか。入金した月ですか」
「面談は、年に何回ありますか。診療のあとの時間でも大丈夫ですか」
⑦ 料金が最初から見えるか
医療法人の料金は、月々の顧問料だけでは分かりません。 決算料、消費税の申告、事業報告書の届出、融資の資料作り、相続の相談。 どこまでが顧問料に入っていて、どこからが別料金かを、年間の合計で見てください。
自費の多い歯科医院や美容の医院は、消費税の申告が毎年あることも多いです。 その分が入っているかも確かめます。 料金の考え方は医療法人の顧問料の相場と 顧問料はどう決まるのかに、 契約書で見るところは顧問契約書のどこを見るかに書きました。
「顧問料・決算料・消費税の申告を合わせて、年間でいくらですか」
「事業報告書の届出と、融資の資料作りは含まれますか」
「別料金になるものを、先に教えてください。書面でいただけますか」
院長が面談の前にやること
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 直近2期分の決算書(個人なら確定申告書)を用意する。数字を見せたほうが、答えが具体的になります |
| 2 | この記事の7つの質問をメモして持っていく。どの事務所にも同じ質問をします |
| 3 | 法人化を考えているなら、県の受付のどの回を狙うかを先に決める。半年前から動きます |
| 4 | 持分ありの法人なら、出資者と持分の割合が分かる資料を用意する |
| 5 | 面談のあと、答えと見積りをその日のうちに書き残す |
いまの税理士を替えるか迷っている先生は、こんな税理士事務所は、変えたほうがいいも読んでみてください。 まだ個人開業で、いつ税理士をつけるか迷っている先生はクリニックが税理士をつけるタイミングが参考になります。
最後は相性です。 7つの質問にはっきり答えてくれて、話していて気が楽な人を選んでください。
当事務所の場合
同じ7つに、当事務所の事実だけで答えておきます。
| 確かめたいこと | 当事務所 |
|---|---|
| 担当者 | 代表の税理士・行政書士 山下久幸が本人で担当します。スタッフが税務のご相談に応じることはありません |
| 医療法人の経験 | 勤務時代は、300件を超える医療機関を顧問先に持つ、医療専門の税理士事務所にいました。2011年に独立し、延べ500社以上の財務改善・節税支援に関わってきました |
| 設立認可 | 税理士と行政書士の資格を一人で持っているので、試算から認可申請の書類までを同じ人間が作ります。登記は提携の司法書士と進めます。設立認可申請のご依頼は福岡県内に限っています |
| 面談と数字 | オンラインで40分。1年目は毎月、2年目以降は2か月ごとです。前月の業績は翌月末までにお出しします |
| 顧問料 | 月6万円(税別)。決算料20万円、消費税申告6万円(課税事業者のみ)で、年間の合計98万円(税別)。医業収入1億円以下・分院なしの医療法人の場合です |
| 設立サポート | 98万円(税抜)。認可申請・登記(提携の司法書士と連携)・保健所・厚生局の手続きまでの総額です(司法書士報酬と保健所の手数料は別途。医業収入2億円以下・分院なしの場合) |
| 事務所 | 福岡市西区姪浜(地下鉄姪浜駅から徒歩2分) |
税務顧問は、医療法人の先生を対象にしています。 個人開業の先生は、法人化のご相談からお受けしています。 料金と顧問の中身は医療法人専門の顧問税理士、 設立の流れと費用は医療法人設立サポート、 経歴はプロフィールに、すべて書いています。
7つの質問を、そのまま私にも聞いてください。
初回の面談は無料です。決算書を拝見しながら、7つの質問にその場でお答えします。 法人化をお考えの先生には、福岡県の受付のどの回に間に合うかもお伝えします。 ほかの事務所と同じ質問で並べていただいてかまいません。
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最終更新:2026年10月23日
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断や手続きの結果を保証するものではありません。記載の制度・日程・窓口は執筆時点(2026年10月)の福岡県・福岡市・関係機関の公表内容にもとづくもので、年度ごとに変わることがあります。実際の手続きにあたっては、各窓口の最新の案内をご確認のうえ、税理士・行政書士等の専門家にご相談ください。